シンフォギア見たんですけど『きりしらルンバ』って何なんですか?誰か教えてください

シンフォギア見たんですけど『きりしらルンバ』って何なんですか?誰か教えてください

今年のGWはコロナの影響でほとんどを家で過ごした。しかし、せっかく時間がたくさんあるのに、やることがないのはもったいない。ということで、前から気になっていたシンフォギアシリーズを一気見した。

シンフォギアという作品の爆裂的な勢いは、自粛で鬱々しがちなムードにはピッタリの特効薬で退屈も全て吹っ飛んだ。かなり面白かった。

全部見た後でジョギングしながらシンフォギアのことを考えていた時に、真っ先に思い浮かんできたのが『きりしらルンバ』と『つばマリ』だったのでその二つについて書いていく。

 

 

全てが謎の乗り物『きりしらルンバ』

三期である『シンフォギアGX』の終盤にて、主人公の立花響とその仲間たちはついにラスボスであるキャロルと交戦する。キャロルは、二期終盤において響たちの放った70億の絶唱を超える力を持ち、ラスボスの名に相応しい強さを存分に奮い、響たちを窮地へと追い込む。

そっからなんかいい感じの話がいろいろあって響たちは強化形態となり復活。キャロルにばらまかれたおびただしい量のノイズ(敵)を駆逐するため、それぞれが分かれて各個撃破することに。

さらなる力を手に入れた響たちは正に無双状態だった。クリスは全身から莫大な量のレーザーを発射し、何百というノイズを同時に殲滅。響、翼、マリアもそれに続き、空を駆ける。圧倒的な力でノイズをちぎっては投げ、ちぎっては投げで蹴散らしていく。

その間、切歌と調が合体攻撃として繰り出したのが、『きりしらルンバ(正式名称は不明)』である。

切歌は鎌を主装備に、調は丸ノコを操る戦闘スタイルだ。そんな二人が合体攻撃を繰り出したら一体どうなってしまうんだ???という問いに、馬鹿正直な足し算として生まれたのがこれである。

 

仲間が空を舞いながら何百というノイズを殲滅している中、きりしらルンバは「ほわ~ん ほわ~ん」という気の抜けるSEと共に、道路にたむろするノイズを牙のような鎌で噛み殺す。ただひたすらに噛み殺す。

地上に沸いたノイズを殺すにはこれが最適な形なのかと思いきや、そうでもない。なぜならきりしらルンバは前方に突き出した鎌が邪魔になり、隅っこのノイズは殺すことができないからだ。

敵を半分以上残したまま次へと向かうきりしらルンバ。生き残ったノイズたちの「あぶねーーーwwwセーフwww」という声が聞こえてきそうだ。

きりしらルンバはその後もかなりの量のノイズを取りこぼしながら地を這う。運転がうまく行ってないのかビルに突っ込んだりもした。

 

コクピットにて黙々と操縦桿を動かすキリカと調。凛とした表情がじわじわくる。どういう気持ちで運転しているのだろうか。

 

巨大なムカデのような敵に取りついて噛みつく。敵はバラバラになって爆発した。原理はわからない。

 

最終的に二人は分離して仲間と合流し、きりしらルンバの出番は終わる。果たしてきりしらルンバは二人分のリソースを使う価値があったのか。各個撃破とはなんだったのか。きりしらルンバが気になりすぎてその後の展開が頭に入ってこなかった。本当になんだったんだよこれは。

 

 

つばマリは鉄筋コンクリート

「シンフォギア見てみよっかなー」と友人に軽い気持ちで言ったところ、「あー…でも、あんまり期待に添えれないかもしれない…キスとかそういうのないし…」と言われた。百合好きの私ががっかりしないようにとなんだか気を使わせてしまった。女の子が二人いれば百合って言ってもいいんだよという界隈の懐の広さに慣れていたけど、一般的には百合=恋愛関係というイメージがまだまだ強いのかもしれない。

実際シンフォギアの百合度については全く問題なかった。多すぎず少なすぎず、まぁこれくらいの百合度だろうなと想定していたものがそのまま来た。

その中でも一番「あ、これ好き」ときたのが、マリア・カデンツァヴナ・イヴと風鳴翼の『つばマリ』だった。

 

マリアの初登場は二期『シンフォギアG』1話。世界の歌姫として登場した彼女は翼とのライブ中に、世界転覆を企てる組織『F.I.S.』としての正体を明かし、ライブ中継をそのままジャックすると世界に向けて宣戦布告。国土の割譲を要求するという大胆な行動と平然とライブをジャックする冷徹な態度に世界中を震え上がらせた。このときは、力と自信とカリスマを兼ね備えた悪のリーダーのように見えたが・・・。

 

その後、マリアは物語が進むにつれて、自分の過去と責任の重さに耐えられず迷走してしまう。何が正しいのかもわからぬまま黒幕に騙され手を貸したりと一貫しない行動が続く。

終盤において、自分のやるべき使命に目覚めたマリアは、月の落下を食い止めるため、世界中の人々に歌で呼びかけ協力を募る。しかし、誰一人その歌に答えてはくれず、絶望が彼女の心を折る。黒幕からは「ぶぁかちんがぁ!!!」と言われ、ビンタまでされてしまう有様。

かわいそう。

 

 

マリアは強くない。装者としてもF.I.S.のリーダーとしても。一見覇気が溢れる強い言葉も全部自分を奮い立たせ、弱さを隠すためのものだ。気丈に振舞っているものの、その心は誰よりも臆病なのだ。

3期でも序盤から敵にボコボコにされ「ハズレ装者」とまで言われてしまう。しかし、ここでマリアは自分の弱さに向き合う決意をする。もうこんなみじめな自分とはおさらばだと。私は強く生まれ変わると。そのために今私はここに来た、と。

いや、なんでそうなる。

まさかの海。この辺のマリアはかなりはしゃいでいてとてもかわいいのだが、その後みんなと別行動している最中に敵襲を受け、またボコボコにされてしまう。ビーチーバレーなんかしていて大丈夫か?と思った矢先にこのありさまである。

己の弱さに再び折れるマリア。しかし、彼女は強くなることよりも、弱い自分を受け入れることを選んだ。F.I.S.のリーダーとして虚勢を張り、ハリボテの強さを追い求めてきたが、それよりも私は自分らしくありたい、と。そして再び立ち上がったマリアはついに勝利を掴む。

弱さを認める強さ。敵にも自分自身にも負け続けてきたマリアだからこそ手に入れることができた新しい強さ。「弱くてもいい平凡な拳でもいい ~悔しささえも恥ずかしめでも何でもぐっと握って今」と、戦闘曲の歌詞にも強い覚悟が表れている。

こうして”弱くてもいい”という懐の大きさを手に入れたマリアは、ほかの人の弱さにも手を差し伸べられる聖母のようなキャラを確立していく。

 

そして、ここにも弱さを持った人物が一人。風鳴翼である。

かけがえのない存在であった奏を失い、自責の念に駆られた彼女は自らを”剣”と化し強くあり続けようとした。

過去の弱かった自分と決別するための高いプライド。二度と折れぬと鍛え上げた心。しかし心の固さというのは、言い換えればそれだけ脆いということでもある。しなやかさがなければ、強い衝撃で簡単にぽっきりと折れてしまう。強さは弱さの裏返し。マリアと翼は似た者同士だ。

 

しかし、もしも弱さを他人の強さでカバーすることができたら?鉄はしなやかだがやわらかい。コンクリートは固いがもろい。お互いの弱さをサポートし合えばさらなる強さが生まれる。こうして誕生したのがつばマリだ。つばマリには鉄筋コンクリートのような強度がある。力学的に理にかなった関係性だ。

どうも私は、誰もが認める強さを持った女の子がなんかすごい出来事で心が折れてしまい、他の子に弱みを見せてしまうシチュエーションが好きらしく、つばマリは「じゃあその他の子も強さと繊細さを持った女の子だったら喜び2倍じゃね?」という簡単な理由で刺さっている。

 

百合アニメ感想カテゴリの最新記事