大室家で味わう、ゆるゆりにはない”酸い、甘い”【大室家 4巻】

大室家で味わう、ゆるゆりにはない”酸い、甘い”【大室家 4巻】

大室家: 4【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)

 

1巻と2巻で1年、2巻と3巻で5年空いた大室家。北京オリンピックが終わるまでは出ないだろうと睨んでいた新刊。割と早く出た。1年ちょっとくらい?

 

 

これまではなんとなーく『ゆるゆりの延長線』くらいの感覚で読んでいたのだが、ゆるゆりとは違う位置にいることにこの巻でやっと気づいた(遅すぎる)。

 

大室家の素晴らしいところは三女花子、長女撫子にもそれぞれの百合の世界があるというところだ。

家の中では3人の姉妹百合があり、学校へ行けばまた独立した百合の世界がある。大室家はいわば3人の休憩所みたいになっているのが面白いよなと思う。

 

花子にはみさきちというクラスメイトがいる。

みさきちは、おりこうさんで成績優秀かつ自分よりも背が高い花子の存在があまりおもしろくない。人当たりもいい花子の周りにはいつも人が集まるが、私のことは誰もみてくれない。私だって本当はやればできるのに!というかわいいジェラシーを抱えた女の子だ。

なので彼女は花子に勝負をふっかける。私の方がすごいんだぞ!私のことも見て!と。でもやっぱり花子の方がすごくて、勝てない。そしてみんなは花子についていく。子供の素直さは時に残酷な面をみせるときがある。

↑みさきちの落ち込み方は心にくるものがある。

本人は気付く由もないが、みさきちはほんとうは花子と仲良くなりたいだけなのである。クラスで一番すごくなりたいのではなく、クラスで一番すごい花子にすごいと言われたくて、そして自分のことを見てほしいのだ。一緒に遊ぼうって誘いたいのに、ちょっとだけ大きなプライドが邪魔して言えないのである。

そんなみさきちの孤独といじらしさを花子は優しくすくい上げる。

花子は小学生とは思えないほど成熟している。それゆえ周りから「様」をつけられ尊敬されているのだが、それは同時に距離になることもある。花子はみんなから尊敬の眼差しを受けながらもどこかで孤独を感じていたんじゃないだろうか。だから、変な距離感を持つことなくつっかかってくるみさきちが可愛くて仕方ないのだ(と思いたい)。

背伸びをしたいかわいさと小学生なりの寂しさを集めて煮込んだ素晴らしいロリ百合。まぁこの調子じゃきっと中学生、高校生、その先も花子に一本取られ続けるだろうね、みさきちくん。

 

 

一方、長女撫子。彼女にはなんと彼女がいる。それもなんと仲良しグループの内の1人である。ゆるゆりの世界では恋人という概念自体がぼやかされてきたが、大室家は違う。ゆるゆりメンバー同士が絶対にくっつかないことを考えると、おぉ!となる。

撫子の仲良しグループは総勢4人。3人の誰かが撫子の彼女であるが、誰かは一切明かされていない。しかも全員がそれとなく匂わせている。一体誰なんだ・・・?しかし、確信的な情報は徹底的に隠されている。おそらく今後も明かされることはないだろう。

 

今回の話で撫子が彼女と喧嘩をしてしまう話があった。

電話でやたら他の女の子の話題を出してしまった撫子は、彼女の機嫌を悪くしてしまい一方的に別れを告げられてしまう。

↑そしてこれが次の日のクラスの様子。見事に全員お通夜。このうちの誰かは撫子との喧嘩が原因。

そしてこの話はテンションが地の底まで落ちた3人をよそ目に、撫子が憂鬱に外を見て終わる。なんとオチ無し

ゆるゆりだったらこの重さのまま話が終わることはなかったはずだ。終わりの2ページくらいでオチをつけて、最後に撫子が笑うコマでENDだっただろう。なので読んだときは「ここで終わるのか!」と少し衝撃を受けた。ゆるゆりではやれないこともやるぞ!というなもり先生のチャレンジ精神を感じたのだ。

個人的になもり先生のシリアスは大好きなので、大室家はガンガン攻めていっていいと思う。ゆるゆり本編であかりとちなつが喧嘩別れしたままオチナシだったらさすがに寝込むけど。

あとは個人的お気に入りシーン。

↑褐色ロリ櫻子&花子概念。

 

↑珍しく無気力な櫻子。本人曰く無気力の原因はわからないが、ひまわりはちなつちゃんと遊びに行ってしまったらしい。一体何が原因なんだ・・!

 

本日は以上になります。

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