自己肯定力の低い女同士の恋がもどかしすぎて気が狂いそう【とどのつまりの有頂天 2巻】

自己肯定力の低い女同士の恋がもどかしすぎて気が狂いそう【とどのつまりの有頂天 2巻】

とどのつまりの有頂天(2) (ヤングキングコミックス)

 

あらた伊里先生の『とどのつまりの有頂天』2巻です。

アマゾンの作品紹介のところに完結と書かれていて一時はどうなることかと思いましたが、普通に出ました。

そりゃあこれだけ人気の百合漫画が2巻で終わるわけないじゃんね~。 びっくりしたな~もう。

 

というわけで待ちに待ったとどつま2巻、最終巻です。

 

 

以下感想(ネタバレあるので注意)

 

 

海を訪れた有頂天部だが、ここでもすれ違いを起こしてしまう美古都と猫崎。

みっともないと言われたと勘違いしショックを受けたかと思えば耳元で熱い言葉を呟かれたり。 距離を置いたり急接近したりと二人の距離感がブレブレである。

それもそのはず。

美古都も猫崎も相手の気持ちがわからないのはもちろんのこと、自分の気持ちすら未だによくわかっていないのだ。 どういう関係になりたいのかがわからない状態で適切な距離感など存在しない。

そして結果こうなる。

これではただの海辺の痴女である。

 

 

 

1巻の最後で美古都が猫崎へのアタックを決意したこともあってかこの巻では二人の絡みが多くなっているのだが、これがもうゴリゴリに心をくすぐってきてたまらない。

猫崎に恋することで美古都が可愛くなり、さらに惚れる猫崎。 美古都は様々な表情を見せるようになった猫崎に独占欲のようなものが芽生えたりして二人とも可愛さが加速している。

相手に恋する→可愛くなる→相手がさらに恋する→可愛くなる→相手に恋するの無限ループの構図が凄すぎる。 百合の永久機関か?

 

というか何といってもこの二人、どちらも自己肯定力が低すぎる。 相手の好きな人が自分という可能性を卑屈な心が必死に押しつぶしてしまうため、”好き”がどんどん膨らむも関係性は変わらないという事態が起こってしまう。

そのくせ平気でイチャイチャし出すため、心をチロチロと弱火で炙られるようなもどかしさで気が狂いそうになる。

 

そして何より二人の痴話が一般公開されているのが面白すぎる。

 

いや二人ともバレバレか。 感情がザル。 もはや頭がいっぱい過ぎてどこをつついても相手のことしか出なくなってしまっている。

これを間近で見てる有頂天部のみんなはめちゃくちゃ楽しいに決まっている。

 

 

以前から性格に影があった猫崎の過去に何があったのかが明らかになる。

彼女がまだ小さいころ、日々の夫婦喧嘩の末に父親は家に帰らなくなってしまった。 母親と二人で生活するようになった猫崎だが、父の面影を残す彼女は彼の代わりとして扱われるようになる。

母から必要とされるのは見た目のみ。 口を開けば「しゃべらないで」と言われてしまい、次第に心を閉ざしていく猫崎。

加えて学校では見た目と中身のギャップをバカにされ、彼女の居場所は完全にどこにもなくなってしまった。

それ以来母から受けた扱いはトラウマとして残り、呪いのように彼女を縛り続けるようになる。

 

美古都の実家を訪れることになった猫崎だが、過去の記憶がフラッシュバックし倒れてしまう。

人に弱みを見せることを極端に恐れる彼女だったが、美古都はそんな彼女を好きだと言ってくれた。 そして美古都に名前で呼んでもらうことで初めて一人の人間としての自分を受け入れてもらうのだった。

 

しかし、今まで親にすら甘えたことのない猫崎。 自分の弱みを受け入れてもらうと今度は拒絶されるのが怖くなり距離を置いてしまうようになる。

とはいえ拒絶される怖さは誰もが持っているもの。 自分に避けられて涙する美古都を見て、自分のことしか考えていなかったと猫崎は気づく。

そして再び彼女に名前を読んでもらい、今度はそれを受け入れるのだった。

いやそこで告白しないんかい!と思ったりしなくもなかったけど、二人ともコミュ障なのでグッと距離を縮めようとするといいことがないとわかったばかりだしこれで良かったのかもしれない。 特に猫崎はまだ人と接することにいっぱいいっぱいなので美古都なりに気持ちを汲んだのかもしれない。 ゆっくりと一歩ずつ一歩ずつ。

不器用な二人が傷つけあいながらもぎこちなく距離を縮めていく様、人気のない夜と朝の狭間というシチュエーションも相まって非常にエモが迸っていた。 ギャグ百合ということを完全に忘れてしまっていた。

あらた伊里先生の漫画は例えるなら、普段はヘラヘラしていて授業も聞いているのか聞いていないのかわからないが、地味にテストでは高得点を叩き出すし毎日遅刻してそうなのに実は一回もしたことがない隠れ優等生のように思う。

 

 

ところでこの巻では小林が付き合っている先生が登場する。

猫崎に対する異常なおせっかいを友情と言った小林だがそこで「はい、そうですか」と引き下がるほど私はおりこうさんではない。

猫崎が一人で飯を食うことが無いようにわざわざ休日にも早起きするか普通?

猫崎は小林に対し毛ほどの興味もないし、その恩に報いる気も更々ないのに?

自分の知らない猫崎の表情を見て「猫崎のやつあいつあんな顔すんのか・・・」とか思うか普通?

もちろんそこにはおせっかいで終わらせることのできない感情がある。

本人は気づいていない。 猫崎も気づくはずがない。 しかし、一人だけその感情を見逃さなかった人がいる。

先生だ。

誰よりも小林の瞳を近くで見ている彼女だけがその感情に気づいている。 小林が猫崎に向ける視線の熱に気づいているのだ。

しかし、彼女がそれを小林に伝えることはない。

何故なら大人だからだ。 わざわざその感情を紐解いて自分の元から小林を逃がすことはしない。 大人はずるいのだ。

 

愛情を愛情と、友情を友情と片付けられない煩わしさ。 これだから百合って面白い。

 

 

というわけで『とどのつまりの有頂天』2巻でした。

これで完結とか移籍とか色々言われていて結局どうなるんだと気になっていましたが、電撃マオウに移籍、しかし連載は再び最初からということらしいです。

キャラの魂はそのままにキャラデザが少し変わるかもということで全員転生し直すみたいで少し笑ってしまいました。 タイムリープSFやん。

これで記憶が少し引き継がれてて美古都がふとした拍子に猫崎を「連」と呼んでしまって、「あれ?なんでうち今・・・」という展開になったら熱い

 

 

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