伊藤ハチ先生の『月が綺麗ですね』6巻が発売された。
主役の二人の物語は既にゴールを迎えているため、この巻では千里の妹である百と従者であるカヨのストーリーが展開されていく。百の話は伊藤ハチ先生お得意の”おねロリ”なのだが、これがかなり凄まじかったので紹介したい。
簡単に百のこれまでをおさらいする。
百は千里の妹である。あることがきっかけで、彼女は自分の担任の先生である日和先生への恋心を自覚する。無口ながらも意志の強い彼女は、自分の思いにしっかりと向き合い、先生と添い遂げたいという気持ちを固めていくのだった。先生はまさか百の好きな人が自分だとは思わず彼女の温かく見守っていたが、気が付くと百のことを意識している自分に気付き始める。
そして今回、先生は百を夏祭りへと誘う。一人の生徒を贔屓するのは良くないとわかっていながらもこうして二人きりで会ってしまう、先生はそんな自分に答えが出せずにいた。
夏祭り当日。百の同級生や先生の同期にエンカウントするというハプニングに見舞われながらも、二人は祭りを楽しんでいた。
人気のないところへと移動した百と先生。誰も見ていない二人きりの時間。先生の口から、最近気が付くと百を意識してしていることが語られていく。
これはそのときのシーンである。
このコマを見たとき、「こりゃ、やられた」と思ってしまった。このコマを描くためだけに6巻を出したのではないかと思わせるほどの凄みを感じたからだ。
先生は百との恋が社会的にあまり良くないことをわかっている。相手はあまりにも年齢のかけ離れた子供であり、自分の教え子でもある。大人と子供、教師と先生。二つの立場が先生を縛っている。大人として、そして教師として心に線を引かなくてはいけないことをわかってはいるものの、中々それが出来ないでいた。
しかし、百の小さな体に芽生えた大きな思いが、祭りの高揚が、二人を照らす満月が、先生の心の一線を飛び越えさせてしまった。大人の恋心に火をつけてしまった。百を一人の人間として好きになってしまった。
そんな顔を先生は今、子供の前でしているのだ。あまりにも美しく、凄まじいシーンである。
伊藤ハチ先生は元々おねロリの道に生きるもののふであるが、今さらなる何かにたどり着こうとしている。そんな恐怖すら覚えるほどのおねロリだった。