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シロップ NIGHT 初夜百合アンソロジー
昔デレステの初夜失敗アンソロなるものを買ったことがあり、その時は何と前衛的なテーマかと驚いたが今年のアンソロラッシュでは変化球のテーマも多かったため、『初夜』と聞いても全く物珍しさを感じなくなってくるから不思議だ。むしろ、「今回のアンソロは王道で来たか」まである。
どの作品も良かったが強いて言うなら吉田丸悠先生の『童貞女子たちの夜』はなかなか面白かった。初夜にたどり着いたものの、お互いに初体験故に手探りで体を重ねるカップルの話だ。
過程もその後もなくただただ文字通り初夜を描いた潔さと経験豊富と見栄を張ってしまい後に引けなくなった先輩の苦悩が良かった。
全体の傾向として初夜というシチュエーションを楽しむというよりはどうやってそこへ至ったかを描いている作品が多く、過程を大事にする百合らしさが出ているんじゃないかと思った。いきなり後日談を描いた作品があったりとバラツキがあるのも面白い。
話の展開にまとまりがなさすぎるという意見もあるが、私はアンソロのテーマというものは縛りではなくむしろ自由を生み出す羽のようなものだと思っている。決められたルールの中でどれだけ羽ばたけるか。奇をてらうことがいいというわけではないが、作家さんが自由な解釈を「ワイの初夜はこれや!」と投げつけるくらいの方がアンソロは面白いのではないかと思う。そもそもアンソロは多様性を楽しむものでしょう?
citrus + / サブロウタ
特に新しい展開があるわけでもなくただひたすらに後日談が描かれているのが良かった。
何せ8巻は物語の締めでいっぱいいっぱいだった。ストーリー的にも緊迫した場面が多く、日常やイチャイチャといったゆるみがあまりなかったので後日談はまるまる単行本一冊やるべきでしょと思っていたところにやってきたのがこのシトラス+である。長いお預けは食らったがシトラサーとしてはたまらない一冊になっている。
いやもう本当に展開とかなくてもいい。ただただその後が載っているだけで。後日談ってそういうもの。これでまた離婚の危機とかなったらもうさすがに耐えられないから。同じパジャマを着て同じベッドで寝起きする二人が見られるだけでいい。
こんな感じの意味ないゲロ甘話ばっかりで最高。そういうの待ってたよずっと。
ちょっと気になってたその後の学校の話、具体的には理事会関連の話もパパとメイがきっちりかたをつけていて物語の補足としても痒い所に手が届いている。
一番左の理事会のメンバー実はめいゆず推してる説。
・まちカドまぞく / 伊藤いづも
買った。全巻。
きららとか絶対読まなそうな友人に珍しくおススメされたためその日のうちに買った。自分の分野に歩み寄られたオタクはまじでチョロくなると実感した。
私のTLには「シャミ子が悪いんだよ」と言いながらベッドに押し倒す桃の画像しか流れてこなかったので、初めて桃が登場したときに「これが桃・・・? なんか私の知ってる桃と違う・・・」というリアクションになってしまったが読み進めていくうちに例のセリフをいいそうなキャラになってきたのでニッコリしてしまった。
突然魔族となってしまったシャミ子と魔法少女の桃のドタバタコメディー。日常ものと油断させつつ、消えた桃の姉の真相を追うにつれて壮大な事件の背景が明らかになっていく。ゆるさの中に時々入ってくる真面目な展開のアクセント。ストーリー性があるので4コマ得意じゃない人でも飽きさせない面白さになっている。
危機に陥ったシャミ子のために桃が魔法少女から魔族の眷属へと堕落し救いに来るという百合的にも熱すぎるシチュエーションがあるのだが、そういった危機的状況でポロポロと明らかになっていく桃のシャミ子への思いがなによりもたまらない。
話が進むにつれて少しずつ魔法少女の力を失い始める桃。未熟な魔族で何もできなかったシャミ子が桃を守る立場になっていく。一方的だった関係が対等に、隣で支え合う関係になっていく。
これは面白いですよ。