松本世知辛い、深刻すぎるすれ違い、大正百合完結の3本【最近読んだ百合漫画たち その4】

松本世知辛い、深刻すぎるすれ違い、大正百合完結の3本【最近読んだ百合漫画たち その4】

最近読んだ百合漫画たちの感想です。

私に天使が舞い降りた!: 6【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)

ささやくように恋を唄う(1) (百合姫コミックス)

女流作家とユキ 2 (ジーンピクシブシリーズ)

です。

 

 

 

私に天使が舞い降りた! 6巻 / 椋木ななつ

みやこの授業がないので彼女の家に遊びに来た松本。 みやこの時間割を把握していることについてはもはや当たり前すぎて語られない。

 

松本の純愛が優しく刺さる。

自己肯定力が低いため「私なんて」という言葉を使ってしまいがちなみやこ。 松本はここで「そんなことないよ!みやこは面白いよ!」と言わずにあなたはいるだけでいいと存在の肯定をした。 これは卑屈なみやこにとって相当嬉しかったはずだ。

その後も松本は有り余るみやこへの肯定力を発揮し、彼女からのバレンタインチョコと名前呼びを勝ち取っていい感じで話は終わった。

 

 

後日、将来一緒にケーキ屋さんをやりたいと言った花に対してみやこは「私なんか」と言いそうになるのを踏みとどまった。

松本の言葉がみやこを変えたのだ。

それにみやこのお菓子が好きという花の気持ちは紛れもない本当の気持ちである。 みやこが「私なんかのケーキ」と言ってしまうことは自分自身を否定するのではなく花の気持ちを否定することにもなってしまう。

松本よ、君がみやこの自己肯定力を高めてくれたおかげで彼女は今他の女と仲良くなっているぞ・・・。 世知辛すぎて笑ってしまった。

 

 

ささやくように恋を唄う 1巻 / 竹嶋えく

高校一年生の木野ひまりは新入生歓迎会でバンドのボーカル依の歌を聞いて衝撃的なひとめぼれをしてしまう。 猛アタックをかけるひまり。 その甲斐もあってか、なんと依も彼女にひとめぼれをしてしまったという。

晴れて両思いになったかに見えた二人だがそこには決定的なすれ違いがあって・・・。

 

ひとめぼれのすれ違いって何ぞやと気になっていた作品。 依はひまりにガチ恋しているがひまりはあくまでもボーカルとしての依が好きというだけ。 二人の間のすれ違いは思っていたよりも深刻だった。

べたぼれしたひまりが猛アタックをかけているように見えるが親密になりたいと思っているのは依の方という構図が新鮮。

毎日会いに来てくれて好きって言ってくれてプレゼントとかしたらメチャクチャ喜んでくれてこんなにアプローチかけられてるのに脈なしってすごくない?

 

種類は違えど好意は好意。 依から押したらなんだかんだいけるのでは?と思ってしまいそうになるが、彼女が遠回しに付き合いたいことをほのめかした時のひまりのリアクションを見てこれは・・・となってしまった。

なんという流しの早さ。 恐ろしいほど落ち着いている。 動揺とかそういう感情もない。

お互いの気持ちの違いが浮き彫りになってしまった。

 

勇気を出して自分の気持ちを伝えた依だが、これはかなり厳しい道かもしれない。

全く脈なしの相手であるなら自分の心を殺せばこれ以上傷つかずに済むけれども、こんなにも近くで自分に好意を寄せられれば心を静めることもできない。

浮かれ気分の今は照れと嬉しさの感情しか沸いてこないかもしれないが、そのうちひまりから「大好きです」と言われるのが辛くなってくると思う。 今後の展開に目が離せない。

 

 

女流作家とユキ 2巻 / なごり悠

完結。

最後まで紅子の粋なスタイリッシュさが炸裂ていた。 そりゃあずるいですよと言いたくなるくらい炸裂していた。

 

ユキが偶然紅子の本を好きな男子学生と出会ったときのこと。 話が盛り上がりよかったらこの後甘味でも・・・と男子学生が調子に乗り出すその瞬間、紅子がスッと入ってくる。

「お邪魔だったかしら」って・・・嬉々として割り込んでおきながらこの人は・・・。 そしてユキの気持ちに気づいておきながら「もしかしてあの子が貴女の好い人?」と聞いたりもする。

この人はほんとにそういうところがある。

 

 

ユキの淡く繊細な恋心は父からの反対によって簡単に圧し潰されてしまう。

時は大正。 結婚といえば親が見繕った相手とお見合いで決まるものであり、ましてや相手が同性となれば時代がそれを許さない。

しかしユキは自分の気持ちを決して捨てなかった。

 

作家と少女のロマンス百合、ここに完結。

大正という浪漫溢れる設定とゆったりした時間の流れ方が好きな百合だったが終わり方もとても良かった。 ユキのような多感な少女がイケ女の手によってぐるんぐるん振り回されるのがとても好きだった。 貴重な大正百合が終わってしまうのは切ないが次の作品にも期待したい。

あと、なごり悠先生のTwitterでこの二人の他の話が見られる、いい時代。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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