文尾文先生の『私は君を泣かせたい』3巻、遂に完結です。
表紙いいなぁ。
こうやって三つ並べるだけで二人の物語のダイジェストが味わえる。
表紙だけで女の子同士の話が進んでいくって正に百合って感じられてよい。
本棚に入れるんじゃなくて本屋みたいに表紙を見せて飾りたい漫画。
以下感想(ネタバレありなので注意)
こんなかわいいヤンキーがヤンキーのはずないだろ!
ちょいちょい入るハナの無自覚誘い受けムーブ、普段のガラ悪い態度とのギャップによって恐ろしい程の攻撃力を持つときあるよね。
ほんとに無自覚なのかそれともハナなりに少し勇気を出してみた結果、ぎこちない変な言いかたになってしまったのか。
ハナとの特別な何かが欲しいと思っている羊にとって、ハナの家を訪れるチャンスという超絶好球が飛び込んできたのに思わず見送ってしまったところ、羊の対人慣れして無さが出てていいねwww
プライベートスペースを重んじる人間にとって家は最終防衛ラインともいえる聖域だから自分の家に来られるのはもちろん、相手の家に行くのも気軽にはできないよね。
マジ顔のハナ。
ハナからしてみれば他人に知られたくない自分の一面を知っていて、気の置けない仲だと思っていたのに自分のことをよく知らないと言われたらそりゃあショック受けるわ。
ハナを見てればクラスメイトと仲が良くなってきた今でも羊との関係を大切にしてることはよくわかるしね。
ハナからの確かなものが欲しいあまり「私が部活辞めるって言ったらどうする?」と聞いてしまう羊。
しかしハナからは欲しかった言葉はもらえませんでした。
えらい!
あんなまわりくどい言葉でなく、自分の気持ちを素直に伝えてハナと正面から向き合う羊。
ハナと出会う前の羊だったらこのままわだかまりを残して、次の日もいつもと変わらずおはようと言ってたでしょうね。
ハナがちゃんと向き合ってくれると信頼した上で行動に出てるのがいいね。 よくわかってるじゃん、ハナのこと。
というかちゃんと話聞いてるとなんかめんどくさい彼女みたいだなww
「なんであっさりしょうがないとかいうの・・・?」
「おまえまじでだいぶめんどくさいな・・・」
「だから言いたくなかったのよ!」
ここだけ見てるとただの痴話喧嘩やな。
そしてズルズルと気まずさを引きずっていた葵とヒメでしたが、羊の後押しによって改めて二人で話し合うことに。 他人には干渉しない主義だった羊もだいぶ変わったなぁ。
葵の気持ちは葵のもので、ヒメの気持ちはヒメのもの。
他人の気持ちは自分が変えられるものではない。
葵の好きとヒメの好きは違うけれど自分の気持ちを大切にして素直でいる。
この二人がどこに行き着くのかは前巻から気になっていましたが、お互いにありのままでいられるいい着地点だったと思います。
実は両思いでしたみたいなご都合主義よりもスッと入ってきました。
というかこれ雰囲気的に最終回かと思ったらまだ漫画半分あったwww
まるで何か隠し事があるかのような不自然な態度を見せるハナ。
彼女の「心配ない」の言葉に引っ掛かりを覚えた羊は改めて話を聞こうとするも、ハナは突然学校に来なくなってしまう。
彼女の家を訪れた羊が見たものは今まさに荷物を運び出している最中の引っ越しのトラックだった。
「・・・どうにもならなくたってちゃんと一緒に悩ませてよ」
「私にも心配くらいさせてよ」
初めてハナと会ったシーンを思い出しますね。
羊の肌を触るハナの手とかそのハナの手を触る羊の手とか、もう触り方が優しくてめっちゃ見とれてしまう。 女の子同士の指の触れ合いって神秘なんだよな。
しかし、あれだけ不器用だった二人がよくここまで成長したなぁ。
「羊の前ではカッコつけてたくて」って台詞が、ハナが弱みを晒せる程の今の二人の関係を感じられてとても良かった。 自分の素を言葉にするって相当相手のことを信頼してないとできない。
弱音を吐けるようになるってシチュすごい好きなんだよな~~。
心の柔らかい部分を見せるのには勇気がいるから、一緒にいて気を使わないとか何でも言える関係とかより一歩踏み込んだ関係になったってのがわかる。
羊もハナも最初の表面上をなぞるような付き合いだったことを思うと感慨深い。
というわけで『私は君を泣かせたい』最終巻でした。
人と関わることの繊細さ難しさを描きつつもシリアスに振り切らず、どこかゆったりとした雰囲気がとても好きでした。
あと最後の一コマは百合好きへのサービスシーンのように感じましたね。 これで好きに想像してくれ!!!みたいな。
あれだけで妄想が無限に広がる。
百合霊さんのスピンオフもとても好みだったので文尾文先生にはまた素晴らしい百合を描いていただけたら嬉しいなーと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事が気に入ったらぽちっとお願いします!