優しさに致死量があるなら多分『晴れ晴れ日和』で一気に越えられる

優しさに致死量があるなら多分『晴れ晴れ日和』で一気に越えられる

最近おねロリで泣いたのはいつですか。

最近のお気に入りのおねロリの一つ『晴れ晴れ日和』の話をさせてほしい。私の好きな、イケメンロリと甘えんぼなおねのおねロリだ。読んでみたら、そこに内包された愛の大きさに心がギュッとなってしまった。私は優しいおねロリが好きなのである。

晴れ晴れ日和 1 (MFC キューンシリーズ)

 

 

ざっくりと内容を説明すると、親の再婚により義理の姉妹となった二人の暮らしを描いた物語、になる。

二人の年齢はかなり離れている。妹のルイくんは小学2年生で、姉のちはるは社会人。二人の関係は姉妹というより親子に近い。ちはるはルイくんのために目一杯働き、ルイくんは彼女の愛を受けながら日々成長中だ。

 

ルイくんはちょっと信じられないくらいに優しい。

俗っぽい言い方をするなら・・・イケメンだ。顔がいいのはその通りなのだが、見た目だけでなく、立ち振る舞いもイケメンなのがルイくんだ。

↑掃除に凝り始めたちはるの職場環境を気遣うルイくん。

小学生らしからぬ、というか大人ですらここまでの気遣いができるか?と思うほどの配慮。ルイくんは相手の言動の奥の気持ちをすくい上げる。日々社会人としてストレスを溜めるちはるは、イケメンすぎる妹が大好きなわけである。

これだけ見るとイケメンなロリと頑張り屋なおねのハートフル同棲生活に見える。実際、間違ってはいないのだが、この作品がハートフルなのはただ単にルイくんがイケメンだから、ではない。

 

 

お気に入りのストーリーを一つあげる。

ルイくんにはくるみという友達がいる。可愛いのだが、少し自分勝手なところがある子だ。思ったことはすぐに口に出すし、やりたくないことはやらない。掃除を人に押し付けたりもする。

 

彼女は決して意地悪をしているわけではない。しかし、そのような子は、仲間意識に敏感な女の子たちからはあまり良く思われない。くるみはクラスで少し孤立している。が、本人は全く気にしていない。

 

きりかという女の子がいる。学級委員をこなし、足も速い彼女は、グループのリーダー的存在だ。彼女の周りには常に取り巻きの女の子がいる。

 

そして2人は仲が良くない。聞けば昔突然くるみがきりかを叩いたことがあり、それから二人の間は微妙な空気になっているのだという。

 

くるみがルイくんにその時のことを語るシーンがある。夕暮れの公園に二人きり、静けさが際立つ印象的なシーンだ。

くるみが掃除当番に遅刻したことがあったのだという。彼女は理由を言わなかったのだが、わがままな彼女に腹を立てたきりかは「くるみん家はおばあちゃんがボケちゃったから」と言ってしまったのだ。

くるみのおばあちゃんはすでに何度か作品内で登場しており、認知症であるような描写がされている。

そして、このシーンはくるみの「病気なのに」という言葉で締められる。

 

ルイくんのことを平面的にしか捉えていなかった私は、キザなセリフで慰めるんじゃないかと思った。優しい言葉で彼女の怒りを和らげるだろうと。しかし、くるみの話を聞いた彼女は結局何も言わなかった。

その晩、ルイくんは飼い猫に独り言をつぶやく。

「怒ってる人嫌いじゃないの おじいちゃんもルイの親のこと怒ってた」

ルイくんは母を亡くしている。父親は海外赴任中であり、日本に残されたルイくんをお爺ちゃんが育てあげたと言う過去がある。止むを得ない理由とはいえ、幼い娘を一人残すというのは大変なことだ。ルイくんのために怒るお爺ちゃんを彼女はそばで見ていたのだろう。

お爺ちゃんの怒りがルイくんへの愛であったように、同じくきりかを叩いたくるみにお婆ちゃんへの愛があった。彼女は大好きなおばあちゃんの尊厳を守ったのだ。

そしてルイくんにはそれが伝わっていた。彼女の怒りを愛情表現として肯定したのだ。

うわ〜〜〜〜〜と思った。自らの浅はかさを恥じた。

何も言わなかったルイくんにも、怒ったくるみにも理由があって、愛があった。

このシーンを読んだ時、私は必ずこの漫画を最後まで追うことを決めた。

 

 

ただ、この説明だけではルイくんは見た目はロリ心は大人、で終わってしまう。そうではない。ルイくんがそこに至る過程もいいんだこれが。

ルイくんの人格形成にはお爺ちゃんの存在が大きく関わっている。持てる全ての愛情をルイくんに注ぎ、立派な人間としての生き方を教え、そして亡くなっていったお爺ちゃんが。

ルイくんに多大な影響を与えたお爺ちゃんの話は2巻で明らかになるのだが、私は涙なしには読めなかった。

 

皆がルイくんを好きになってしまうのはルイくんがかっこいいからではない。ルイくんが今まで受けてきた愛を、皆に返しているからだ。ルイくんのおっきな肯定力は、彼女がそれだけたくさん肯定されてきたことの証でもある。

お爺ちゃんはいなくなってしまったが、今はそばにちはるがいる。彼女もルイくんを愛する者の一人だ。

 

ちはるは仕事でどんなに疲れていてもルイくんのためにご飯を作る。義務感からではない。ルイくんに美味しいご飯を食べさせてあげたい一心からだ。

しかし、料理が苦手な彼女は毎日のように失敗してしまう。

そんな彼女にルイくんは声を掛ける。

「まったくこれじゃいつまでたっても ちはるのごはんはルイ専用だな おかわり」

ルイくんもまたちはるが大好きなのだ。

ねぇこんなに優しいおねロリある?

 

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