缶乃先生の新連載『優しい三角関係』と同時発売の短編集『無職とJK』
金曜、午後。プレミアムフライデー。上司の引力を振り切り会社を早上がりした私は急いで中央線に飛び乗った。缶乃先生の単行本が発売されたのだ。そして目的の物を手に入れると風のように読み終わり思った。どうやら私は一生缶乃先生から離れられそうにない。
アンソロジー『エクレア』シリーズで収録されていた表題作『無職とJK』。
無職でヒモ志望の真央と彼女に付き纏うお金持ちJK羽純のワチャワチャが描かれている。一目惚れした羽純の猛アタックと、なかなかなびかない真央の微笑ましい駆け引き。
というのはあくまでも羽純からの視点で、大人でヒモで彼女に興味がない真央からすると全く微笑ましくない問題なのである。
↑仕事を生活するための手段と考えるなら、ヒモもまた仕事である。羽純はお金を持っているが、子供からはお金を受け取れない以上彼女の好意はただの迷惑でしかない。ヒモは遊びじゃないのだ。
↑遊びと本気の手綱を握らされるのはいつだって大人だ。
後書きによると『あの娘にキスと白百合を』に登場する黒沢さんには初期設定でヒモ要素が存在したが徐々に無くなっていき、その代わりに誕生したのが真央だとか。なるほど。白峰さんの人格の一部がこんなところで活躍していたとは。少し不思議な気分だ。
↑羽純の金にものを言わせた猛アタック。一見ロマンスもクソもない現金なアプローチだが、真央はヒモ志望なので一番効果的な方法とも言える。しかし、ヒモは生活するために依存しているのであって、必ずしもそこに愛があるわけではないということを羽純はまだわかっていない。かもしれない。
真央が本当に羽純のことをどうでもいいと感じているなら、さっさと依存して金を吸うだけ吸ってしまえばよいのだ。すぐに捨てられる可能性もあるが、そしたらまた次の依存先を探せばいいだけの話。今より何かが悪くなるということはない。
わざわざ羽純を案じて自分から遠ざけているということは、実はすでに結構好きなんじゃないの?と思ってしまうが実際そうだからしょうがない。
エクレアシリーズに掲載されていた1~5話の他に0話、最終話(書き下ろし)が収録されている。馴れ初めである0話は電撃大王に掲載されていたらしい。それは知らなかった。
↑真央に一体何が・・・。是非自分の目で二人の始まりから終わりを見届けることをおススメする。
この短編集には表題作の他、合同同人誌に寄稿した作品が収録いるが、私がお勧めしたいのは何と言っても『golden girl』。ケモ百合である。
↑素晴らしい!缶乃先生あなたは一体どれだけ多くの引き出しを持っているのか!素晴らしい!