わたモテ本連載が『ガンガンオンライン』アプリに移植になった。
といっても今まで通りガンガンオンラインのサイトでも読めるのだが、こちらは一話遅れで更新される。有料のコインを使えばアプリで早読みできるよというよくある手法である。
アプリのランキングを見るとわたモテは女性部門で3位、総合、男性部門で1位を飾っており、恐らくアプリを支えるキャプテンの役割を担っているのだろう。ネット界隈での人気を考えると稼ぎ頭として期待されているはずだ。
そこまでがめつい商売でもないし(1話分待てば非課金でも読める)アプリでのやり方を批判するつもりは全然ないのだが、更新直後にみんなで今週の展開がいかに刺さる話だったかや自分の推しカプの進展についてガヤガヤと騒ぎ立てるお祭り騒ぎもわたモテの大きな楽しみの一つでもあるので、無課金組と課金組で二分されて同じ感動を味わえなくなってしまったのはちょっと寂しいかなと思う。実際友人とのわたモテの会話はなくなってしまった。
谷川ニコ先生の『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』16巻の感想。
自分はもこっちを必要としているがもこっちはそうでもない。「・・・智子が連れてきたかったら根元さんとか加藤さん 成瀬さんも呼んでいいけど」は自分はもこっちの多数の友達の内の一人に過ぎないというゆりの自覚を感じさせる少し切ないセリフである。しかし、だからこそ自分だけの居場所を見つけたときは最高の笑顔を見せる。表情筋が10gしかないのにも関わらずだ。
名シーンの爆誕にゆりの株が上がりかけたのだが、その後ネモにマウントを取っているシーンがこれと同じくらい最高の笑顔だったので、”かわいいところもあるんだが根はやばい”といういつも通りの評価となった。
これはネモも絶句ですわ。まず会話をしてくれ。
もこっちが交友関係に疲れを見せてきた。
ぼっちの喪女として幕を開けたもこっちの高校生活。クラスでの扱いという辛さはあったが、孤独自体は慣れてしまえばどうということはない。教室での居場所と引き換えにもこっちは人に縛られない完全なる自由を手にしていた。
だが今の彼女は常に女に囲まれている。友達ができることは自体は悪いことではない。しかし、友好関係が広がれば友達の友達との二次的な付き合いも増える。
次々と友達を引き寄せる加藤ママ。知らない人が平然と輪に加わってくる陽キャの集会。人見知りにとって知らないコミュニティにぶちこまれるのは控えめに言っても地獄だ。あまりにもアウェイな雰囲気にもこっちは息苦しさを感じてしまう。
そして息苦しさのもう一つの理由が加藤ママ本人である。
ストレートに言えば、加藤ママが重いのだ。
ゆりの感情が依存の混じった独占欲なら加藤ママは支配欲の混じった独占欲である。ゆりは自分の独占欲をもこっちにぶつけたりはしないが、加藤ママは平然と実力を行使してくる。もこっちを進学させるための管理が善意によって行われる。自分と同じ大学に行きたいのだからマネジメントしてあげることは良いことのはずだ、と。
他人に縛られることのなかったもこっちにとって勉強や進路まで級友に管理されるのはかなりしんどいはずだ。
その原因の一つとして、二人の間に存在する上下関係がある。
修学旅行以来加藤ママとの距離が急速に縮まったもこっち。しかし完全に打ち解けたかというとそうではなく、そこには未だに心の壁が見える。
気質が内弁慶な彼女は警戒心がとても強く、心を開くまでに時間を要する。何せ相手はスクールカーストの頂点に立つ女子である。遺伝子に刻まれた根暗の本能でどうしても下手に出てしまい、結果言われるがままにされている。現在の二人の関係はとても対等とはいい難い。
友人ができて他人の存在に向き合わざるを得なくなったもこっちがこの先どのような形で折り合いをつけるのか。そして加藤ママとはどのような関係に落ち着くのか。
私の推しはうちもこで揺るぎはしないが、着地点という意味ではかともこが一番気になっている。
ちなみにこれはこの巻で一番面白かった1コマ。
リアルタイムで読んだときは加藤ママの表情がこの世の全てに興味が無くなったように退屈そうに見え、グレたお嬢様みたいでゲラゲラ笑ってしまったが、今改めて見直すともこっちを心配する悲痛な表情に見える。
もこっちが居なくなった結果、このクラスがいかにもこっちを中心として回っていたかが浮き彫りとなった。
もこっちロスは思いのほか深刻で、「めんどくせー、LINE明日返信しよ」という彼女の軽率な行動が連絡の有無によるマウントの取り合いを引き起こしてしまうほどだ。誰もが「私になら連絡をくれるはず」という希望を持ってもこっちにラインしたのだろうと思うと少しいたたまれない気分になる。
謹慎によってこうも見事にクラスが停滞してしまうと改めて彼女の存在の大きさを痛感させられる。
今回うちもこで大きな流れが発生したのですが、それはまた別記事にしようと思います。