市川春子先生の宝石の国。 9巻です。
表紙は対峙する地上の宝石達と月の宝石達。 裏には悲しそうな表情のパパラチアとどこか納得しきれていないような様子のイエロー。
折り返しには安定のシンシャですが、今回はフォスと向き合っています。 いつでも攻撃できると言わんばかりに毒液を浮かべて。
以下感想(ネタバレがっつりあるので注意)
フォスは誘いに乗った宝石達を先導し、月へと向かう。
「お前月側すぎんだろ」
冷静なカンゴームのツッコミにめっちゃ笑ってしまったwww
だけどそんなフォスに対しても大して動揺もせずあきれ顔でツッコミを入れられるあたり、カンゴームの信頼の強さがわかる。 やっぱりパートナーという立ち位置はすごい。
フォスに関しては「だって僕と組んでるじゃん」で月へ連れてきてしまうくらい無条件の絶対的全幅の信頼を寄せているので言わずもがな。
こんなシリアスな状況でもいつも通りの漫才を繰り広げられるこの二人は心配無用だ。 例えフォスに多少余裕が無くてもカンゴームがいれば何とかなる。
このときの自分はまだのん気にそんなことを考えていました。 この後何が起こるかも知らず・・・。
月人が無になってしまったら宝石を戻せなくなると思うんだけど大丈夫かな。
フォスたちの裏切りによって極限の精神状態に陥っていた地上の宝石達は金剛先生から自身の過去についての話を聞き、彼と新たに対等の関係を結ぶのでした。
フォスが月で迷走している間に地上組はいい感じにまとまってきました。
ああ・・・ダメだ泣いてしまう。
この生き地獄のような展開に一筋の希望を見ることができてよかった・・・。
そしてこの次に愛の装甲の話を持ってくる鬼畜さ。
もうほんとさぁ・・・。 あのさぁ・・・。
一筋の希望すら作られた光だというのですかこの漫画は。
宝石達の新たなスタートも金剛の呪いなのか。
安息の無かった展開続きでやっと心を置く場所ができたと思ったらそこもまた新たな地獄だった。
「夜はこちらの人員を割けない 労働組合から文句が出る」
労働組合www
急に馴染みのある言葉が出てきて笑ってしまったけど、確かに寿命が無限の状態で〆切も無限のタスクがあったら残業なんてしたくないわなwww
月めっちゃホワイトそうでいいな。 人間も見習ってくれ。
カ、カンゴーム・・・?
安定のカンゴーヌ~ン・・・? ウソだろ・・・?
結局押しに弱いから乗ってあげるんだよな? えっえっ?
フォスに振り回されつつもなんだかんだ付き合ってあげるあのカンゴームのことを呪いとか言われても全く飲み込めないんだけど。
自分の好きだったカンゴームは何だったの?
でも今思うとフォスが頭を吹っ飛ばされた時にカンゴームが自分の頭をちぎってつけようとしたシーン、当時は急に狂って怖ぇとしか思わなかったけどあれもゴーストの呪いだったのか。
それほど強力なゴーストの思念に縛られていたことを思うとどれだけカンゴームが苦しかったかわかるけど、でも「しゃーねーな」って顔でフォスを許すカンゴームを呪いだなんて思いたくない・・・。 これは時間かけたからといって受け入れられるとかいう問題ではない。
というか瞳にゴーストが残ってるだけであの縛られようならフォスとか一体どうなるんだろうね。
手足は全く別物だし頭は完全にラピスラズリ、さらに片目は月人に埋め込まれたもの。 今のフォスで初期のフォスの意志ってどれぐらい残ってるんだろうか。
シンシャの仕事の話とかもう忘れたよな絶対。
地上へ奇襲をかけたフォス、パパラチア、イエローは先生たちに就いた宝石達と交戦。
30万を超えるパパラチアへの施術回数。 医術以上の全てを彼に捧げてきたルチル。
彼を自分の手で治すために。
しかしパパラチアはこうしてルチルの前に立っている。 月人の手によっていとも簡単に治されて。
もう殺すしかできないよこんなの。
そして襲い掛かるルチルを容赦なく砕くパパラチア。
パパラチアの願いはルチルにラクさせてやりたい、だったからね・・・。
月人によって復活し自らの体に不調がないとわかったときからこの結末を覚悟していたんだろう。
せっかく完治したのにパパラチアは復活してからというものずっと苦しそうな表情ばかり浮かべている。
「清く正しい本当が 辺り一面を傷つけ全く予想外に変貌させるかもしれない」
これまではフォスが慎重に一人で動いていただけでしたが、この奇襲によって他の宝石達も巻き込む大きな抗争となってしまいました。 もう戻れない。
フォスが完全に正気を失ってしまっている。
宝石達を先生から自由にするために宝石達と戦うってもう意味わからんよ。
月で教えられた事実がフォスの全てをひっくり返してしまったので、自分でも何の目的で何やってるかわからず五里霧中。 一体どうなりたいんだ。
フォスが新たな体を手に入れるたびに自分を失い心が迷走している。
さらに心の支えだったカンゴームは別人となり、かつての相棒だったアンタークの返る見込みもなくなるというダブルパンチ。 見てて辛すぎる。
読んでて苦しさしかねぇ!!!!!
重い。 読み終わって感情を消化するのに数日かかる。
この漫画が完結して、果たして幸せといった類の感情は得られるのだろうか。 いや、そんな時間は絶対に来ない気がする。
もはや楽しみという感情で最新刊を待ってはいない。
そこにあるのはこの物語を見届けなくてはならないという使命感。
見届けよう最後まで、この極上の地獄を。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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