久々に新刊じゃない感想。 磯谷友紀先生の『さようならむつきちゃん』です。
この本、発売したときから気になってたんですよ。
ドレスのまま浴槽に座る女の人と猫耳をつけてラムネをばらまく少女、この不可思議な雰囲気とか色使いとかが絵本の挿絵みたいで素敵。
でもなんとなーくスルーしちゃってて気づいたら二年経ってました。
よくないね、こういうの。 欲しいと思ったらそのときに買おう。
以下感想
もうまずね、1ページ開いてわかった。 あ・・・好き。 この絵柄ね、もう好き。
画面があんまりうるさくなくてね、あんまりキャピキャピしてない絵柄っていうの?
ゴテゴテの甘さではないんだけど、スッとした和菓子のような甘みがあるというか。
ひらり、とかつぼみの漫画に多い気がする(遠い目)。
で、これ短編集で八編ほどお話が入っているんですが、その中でも特に琴線をギャリギャリかき鳴らしてきたのが『少女の魔笛』と『桜の実の熟する日』。
息子の高校の入学式に来てた麻知(バツイチ)が、家庭内の事情とかいろいろあって泣いてたところを、偶然新入生の理世に見られるってとこからお話が始まる。
おばさんとjkのいわゆる年の差百合ってやつですね。
おねロリも一応年の差百合ですがそれとはまた違った魅力があります。
入学式で一目見かけた麻知に会うために家におしかけた理世。
ティーンエイジャーの行動力すごい~~!!! 若い~~!!!
偶然の再会に頼らず自らで道を切り開くパワーにクラクラ。
理世の数々のアタックにわたわたする麻知だが、心の芯までは揺らいでいない様子。
恋愛に億劫なおばさん・・・いいね!
ときめきに身をまかせるような年でもないし、冷静にリスクとか考えたら今さら恋愛するのめんどくさいって感じの。
怖いというより恋愛する体力ないみたいなw
反対に理世は若さで突き抜けてて、麻知と対照的なのが良かったですね!
これに「でも好きなんです! 今のことだけじゃだめなんですか!」って答えちゃうところとか。
今しか見てねぇ!!
いや~この言葉信じるのは怖いよな~
だってローン組もうとして総額いくらですか?って聞いたら「いやまぁそれはわかんないですけど月々の返済は小額ですみますよ」って答えられるようなものだし。
いやそりゃあ理世は今好きだからって理由で十分なのでしょうけど。
で、まぁ当然、いや~無理っすってなるんだけど去り際にね、気づいたら麻知の手が理世の手を掴んでてね。
その瞬間に麻知が「あ、私終わったわ」って感じでお察ししてたのがよかったですね。このまま麻知は幸せに溺れてこの甘い毒から抜け出せなくなるんだろうな。
若いって罪だなと思った。
この続編の『桜の実の熟する日』も最高でした。
あ~~~~ほらね~~。 完全に甘い毒の中毒になってるもん。
こんなかわいいおばさんになっちゃって。
理世と他の子がキスしてるところを麻知が偶然見ちゃって(この歳になると 裏切ったり 裏切られたり・・・ 心がもちそうにないのよね)って恋愛の体力のなさが出てるところも可愛かったw
最初はJKがおばさんの魅力に惹き込まれてくんだけど、気づいたらおばさんがjkに絡め取られて抜け出せなくなる。
おばJKいいな~~。
いや今度おねロリのアンソロジー出るじゃん・・・?
もう百合のジャンルのアンソロジーが出るような時代じゃん? 願ったらほんとに叶いそうだから一応言っておく。
おばJK アンソロジーでくれ・・・!
ダースで持ってきてほしいwwwww
ベストシーン
キスの仕方を「他の女になんて聞くな・・・っ」
このセリフを子持ちのお母さんが高校生の女の子に言ってるって考えるとゾクゾクくる。
泣いちゃうのもなお良し。
あとキスされるときに麻知に力で抑え込まれてトロンとなる理世がかわいい。 麻知に求められる快感。
いつもは理世がちょっかいかけてるっぽいけど、麻知が本気出したらコロッと転がされちゃうのがたまらないですね。
最後は幸せなようでどこか仄暗い終わり方でした。
(どうかできるだけ長く いつまでも) どちらの言葉なのかははっきり書いてありませんが多分麻知でしょうね。
将来的に理世が離れることがわかっていて、それでも願ってしまう切ない希望が印象的でした。
というわけで『さようならむつきちゃん』でした!
全体的に薄幸なお話が多くて、画風とよく合うことも相まって、胸がちょっと苦しくなるような読後感でした。
そういえばヒバナで連載している『あかねのハネ』って磯谷友紀先生だったんですね!
作品は聞いたことあるけど、こう繋がってくるとは・・・。
ほんのりとした百合があるらしいので買ってみようかなーと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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