年間200冊以上百合漫画を買う私が選んだ、初心者にオススメの百合漫画8選

 

 

突然ですが、私は実際に使ったことがない人が書いたであろう商品紹介記事があまり好きではありません。

「バッテリーは3時間くらいもつとのこと」みたいな紹介を見かけて「お前が実際に使ったんじゃないのかよ!!!!!」と画面に拳を叩きこみそうになったことが何度もありました。

 

この記事では年間そこそこ百合漫画を買っている私が、ちゃんと所有している漫画の中からうんうん唸って初心者向けの8作品をセレクトしました。

初心者向けのレパートリーでは”とりあえず王道をたくさん”薦められがちです。しかし、王道も百合のジャンルの一部、当然合う合わないがあります。読んだけどしっくりこなくて「百合漫画ってこういう感じか~ちょっと合わないかもな~」と立ち去ってしまうのはあまりにももったいありません。百合にも種類がたくさんあるし、入り方だって人それぞれなのに。

ここでは王道だけにこだわらず幅広い分野から名作を紹介しています。

「こんな百合漫画もあるのか?」という新たな発見、そして百合の奥深さを感じてもらえればこれに勝る喜びはありません。

あなたの未来に良き百合の祝福がありますように。

 

 

ゆるゆり / なもり

ゆるゆり (19) 特装版 (百合姫コミックス)

百合をよく知らなくても『ゆるゆり』の名前は聞いたことがあるかもしれない。

ゆるゆりは百合の入門編として紹介されることが多い。その理由は単純で、絵が破壊的にかわいくて、しっかり笑わせてくれるくらい面白いからだ。だって可愛い絵と笑いが嫌いな人間なんていない。誰が読んでもわかりやすく面白い、つまりゆるゆりは全ての人間を幸せにするポテンシャルがあるということである。

ゆるゆりの魅力は豊富なカプ※にある。多くのキャラクターと巻数により生まれたカップリングの品ぞろえはもはや帝国ホテルのビュッフェ。ホスピタリティがすごすぎるのだ。初めは「可愛いし面白いよな、百合のことはまだよくわからんけど」だったのが「この二人の話って外れないよなー」になり、気が付けばPixivの検索欄にカプの名前を打ち込んでいるはずだ。二次創作が多いのもゆるゆりの魅力の一つ。原作を読んだ後は、無限に湧き出る二次創作に溺れて優勝せよ。

※カプ カップリングの略。二人の関係性につけられた名称。

 

 

総合タワーリシチ / あらた伊里

総合タワーリシチ 完全版(上) (ヤングキングコミックス)

『総合タワーリシチ』も絵が破壊的にかわいくて笑えるくらい面白い。主人公が血気盛んな秀才でヒロインは幸薄の秀才という設定がもう既に面白いのでずるい。周囲のメンバーも個性的で我が強く、「オンリーワン??うるせー!!私がナンバーワンだ!!」という輩ばかりだが、その騒がしさこそがこの作品の醍醐味。

無数の組み合わせが存在し、「お気に入りのカプを作ろう!」というスタンスのゆるゆりに対して、総合タワーリシチはすでに組み合わせは決まっており、「お気に入りのカプを選ぼう!」というスタンス。自分の好きなカプで想像力をの翼を広げる楽しさと、自分のお気に入りカプの物語を最後まで見届ける楽しさ、どちらにも尊い百合の喜びがある。

喧嘩にハラハラし、イチャイチャに咽び泣く。総合タワーリシチを読めば、“見守る楽しさ”を感じてもらえるのではないかと思う。

 

 

となりのロボット / 西UKO

となりのロボット

人間のチカちゃんとロボットの恋を描いた傑作。

ロボットのプラハには恋がわからない。当然だ。人間自身が恋について論理的に説明できないのに、ロボットに学習させるなんてできるわけがない。プラハはチカちゃんにされたキスの意味すら理解できない。二人に立ちはだかる壁はあまりにも高く、溝はあまりにも深い。

このマンガのすごいところは、人間とロボットの恋をフィクションなしで描き切っているところだ。恋とは一体なんだ?合理を求める存在であるロボットが恋をしたらどうなる?緻密な考察の元で少女とアンドロイドの恋が鮮やかに、論理的に紡がれる。そして論理は納得を生み出す。

タイトルを見てきっとこう思ったはずだ。「人間とロボットは果たして百合なのか?」その答えは読み終わった人だけが知っている。

 

 

ハナとヒナは放課後 / 森永みるく

ハナとヒナは放課後 : 1 (アクションコミックス)

王道を描くのは難しい。王道とはすなわち、誰かが通った道であり、一般的で、意外性がないとも言える。故に変化球が好きな私は王道の百合にあまりハマってこなかった。そんな私を一発でぶちのめしたのが、森永みるく先生の『ハナとヒナは放課後』である。

隣町の小さな雑貨店は、地味な先輩とギャルの後輩の秘密のアルバイト先。やがて二人には小さな恋心が芽生えるが、恋愛が運んでくるのはドキドキだけではない。「一番の友達がいた」と言われたときの息苦しさ、友達以上を求めてしまう自分への嫌気、好きだからこそ身を引かなくてはいけない痛み。あまりにも繊細に描かれる二人の恋がグイグイと心をとらえて離さない。人がかかる困難を乗り越えていこうとする姿はあまりにも美しい。

女の子同士の恋愛というストレートなテーマを丁寧にしっかりと。森永みるく先生はストーリーで勝負する作家だ。王道という高いハードルを、逃げることなく、下からくぐることもなく、ストーリー力で真正面から飛び越えていく。王道のパワーを味わってみたい人は是非。全3巻で買いやすいので。

 

 

終電にはかえします / 雨隠ギド

終電にはかえします (ひらり、コミックス)

百合展というイベントをご存じだろうか。様々な百合作品の展示やグッズ販売が行われる百合界隈最大のイベントであり、毎年百合好きが集ってはグッズを鬼のように買い漁っていく戦場でもある。その百合展で常連の作家として呼ばれていたのが雨隠ギド先生である。

しかし、雨隠ギド先生は百合専門の作家というわけではない。出版された百合作品は短編集『終電にはかえします』、ただひとつだ。では何故そんなにも百合展に呼ばれているのだろうか?理由はとても簡単で、『終電には帰します』があまりにも完成度の高い短編集だったからだ。

思わず次をめくりたくなるストーリーに、読めば読むほど愛着がわくキャラクター。ドラマティックな展開から畳みかけて着地。一連の流れのなんと美しいことか。一編を読み終えるだけで、まるで長年追い続けてきた漫画の最後の一ページを閉じたときのような幸せな気分になれる。読めば納得の極上の短編集。

 

 

双角カンケイ。 / タチ

双角カンケイ。 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

ここらで少しアクの強い百合を味わってみるのもいいかもしれない。

タチ先生の『双角カンケイ。』は、ひょんなことから双子の妹になりすましていた姉が、妹のバイト先の先輩から告白されてしまうというストーリー。オーケーしてしまった姉は、何も知らない妹と周囲の人間を騙しながら、自分を妹だと勘違いしたままの先輩と交際するが・・・。

一見するとそこまでえぐそうにない設定と可愛らしい絵柄に騙されてしまいそうになる。しかし、中を開いてみると、交差するエゴと積み重なる嘘によってがんじがらめになっていくキャラクター達、緊迫した修羅場がたっぷり詰まっている。まるで将棋でじわじわと追い詰められているときのようなプレッシャーが実に癖になる。

先に言ってしまうがこの作品はハッピーエンドではない。寝付きが良くなるというよりは、悶々と考えさせられ眠れなくなってしまう終わり方だ。だがそれがいい。心に残る心地の良い爪痕こそドロドロ百合の醍醐味だ。

 

 

灼熱の卓球娘 / 朝野やぐら

灼熱の卓球娘 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

スポーツは最高に百合である。女同士の感情の絡み合い、ぶつかり合いを表現する手段としてスポーツはあまりにも相性がいい。

例えば卓球なんかがそうだ。『灼熱の卓球娘』は誰よりも卓球に青春を捧げる少女達がチームの仲間と共に全国大会制覇を目指すスポ根漫画である。

キャラクターの関係性と試合展開の絡み合いがすごく、今の彼女的存在であるヒロインの見ている前で、主人公が元カノ的存在と戦うことになるという昼ドラのような展開には驚きすぎて腰が抜けてしまった。

この漫画で卓球台の上を飛び交うのは球だけではない。ペアと共に積み重ねてきた信頼、応援席に立っているあの娘への嫉妬、仲間からの期待に報いんとする闘志。卓球の球はときに言葉以上に感情を語る。答えは全て真剣勝負の中にある。読めば一球に込められた想いの熱量を感じることができるはずだ。

 

 

突然の百合 / 東河みそ

突然の百合

「百合の一番の盛り上がりはどこか?」と聞かれたら、もちろんたくさん答えはあるが、その中の一つに「恋が始まる瞬間」があると思う。

百合が人と人の繋がりを描いた物語であるなら、出会いとは物語の歯車が動き出す瞬間である。心に春一番が吹きこんだようなあの瞬間!なんかわかんないけど未来が明るい気がするあのワクワク感!

『突然の百合』はそんな”出会い”のシーンが3~4ページで詰め込まれた、百合のショートショート。いわば百合の大トロだけをぎゅ~~~~~~っと詰め込んだ一冊だ。どの話も、読めば心に感動の波がだぱーんと押し寄せ、思わずガッツポーズが出そうになる。とにかく百合が濃いのだ。私は1話ごとに本を閉じて感動の余韻を味わっていたので、読み終わるのにかなり時間がかかってしまった。

 

 

 

以上、初心者にまず読んでもらいたい百合漫画として8作品をあげさせてもらった。

まずは百合の広い世界に触れられるよう様々な系統を選んだつもりだ。

上に挙げた作品はどれも間違いなく素晴らしい作品達だが、当然人には好みというものがある。刺さる刺さらないは人によるので、全てどハマりすることを期待するというよりはこの内のいくつかが気に入れば儲けものというつもりで読んでほしい。

こんな記事を書いたくせにこんなことを言うのも何だが、他人の評価をあてにしすぎるのは良くない。結局自分の好みは自分しかわからないからだ。世間では絶大な評価を受けているものがイマイチハマらなかったり、あまり知れ渡っていない作品がめちゃくちゃ心にぶっささることは割とある。もし気に入った作品があれば、その作者の別作品や似た系統の作品を探してみると自分の好みがわかってくると思う。

そして、もしあなたが素晴らしい百合漫画を見つけたときは是非教えてほしい。私も百合はおろか、百合漫画にについてもまだまだ知らない事ばかりなので。百合をわかちあって、みんなでもっと百合を楽しんでいけたら百合の未来はそう悪くならないんじゃないかと私は思う。

それではあなたの百合ライフが素晴らしいものになることを祈って。

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