買うのが少し遅れてしまったけどKADOKAWAからの人外×人外百合アンソロ買いました! 人外×人間百合はまた後ほど。
帯の好きにヒトは関係ないという言葉、ヒトを超越せし者たちの百合というのがバシバシ伝わってきますね。
普通、テーマアンソロってある種の縛りになると思うんだけど、人外×人外ってむしろ枠を取っ払って無から全てを創造するみたいなものだと思うので作者の方々が一体どんな世界観で百合を見せてくれるのかとても楽しみです。
以下感想
・鬼と山神 / 雪子
草木の茂る秘境、角を生やした少女、人ならざる大きさの山の神。 きましたね人外百合。 「いらっしゃい、歓迎するよ」というアンソロの声が聞こえてきそう。
一ページ目から読者を突き放すようなこのゴリゴリの世界観がたまりません。
あまり詳しく語られないことによって逆に設定に奥行きを感じられるのもいい!
二人だけの世界だけど閉塞感は無く、ただただ美しい。 人を越えた者たちによって静かに育まれていく百合を堪能できる素晴らしい作品。
・ようこそ動物園BAR
夜になると動物が人間へと姿を変える不思議な動物園。 ある夜、園内を歩いていたヒメウォンバットは傷ついたタスマニアデビルに出会う。
構ってもらいたがりのウォンバットや独占欲の強いタスマニアデビルといった動物の習性がうまいこと人の形の百合に落とし込まれた作品。 ウォンバットにキュンときたタスマニアデビルが思わず首元に噛み付いてしまうところとか野生を強く感じさせていいよね。
あとヒメウォンバットって初めて聞いたので調べて見たけどぽてぽてでめちゃくちゃ可愛くてびっくりした。 ネコモグラって感じだ。
・生贄の花嫁 / ネコ太郎
人外の魔女と村から生贄として捧げられた猫耳少女のお話。 少女は魔女と一緒に暮らしたいと言い出すようになるが、魔女は少女のためを思い彼女を返そうとする。 そしてある日、少女は魔女の元からいなくなってしまう。
人外×従者×年の差という好きになる要素しかない。
人間から疎まれて孤独な魔女がおね力(?)を発揮して少女を返そうとしているところさすがの年の差が滲み出ていた。 片方の角が無くなっていたから恐らく人間との辛い過去もあっただろうに、それを出さないおねの器の大きさ出てたよね。
最後の一コマで魔女の動物っぽい脚(逆関節みたいな)が露わになるシーンに強い人外百合へのこだわり出てて嬉しくなってしまったな。
・2号室 / 七宮つぐ美
鶏舎で何一つ不自由ない生活を送る鶏たち、そんな彼女たちの元へ一羽のカラスが侵入した。 自分たちと違う姿やその行動を気味悪がる鶏たちだったが、その中で一匹だけ彼女に興味を示す鶏がいた。
個人的には登場人物を完全に擬人化させるんじゃなくてあくまでも擬人化はイメージとして使っているところが人外百合らしくてよかった。 鶏と烏に百合を見出すというと過激派な百合に思われるかもだけどこのアンソロではよく馴染む。
・とべたらいいな! / 水谷悠珠&かえで透
どうしても空を飛んで見たいネズミの女の子と一族の掟に縛られた竜の女の子の話。
初めは空を飛ぶなんて無理だとばっさり切り捨てていた竜だが、ネズミの持つ夢への一途さに惹かれていく。
「うう・・・手ちっさ」 好き。
竜が自分よりも遥かに小さいネズミに圧される展開美味しいです。 種族からくる極端な身長差、人外百合らしさがよく出ていて大変よろしい。
・武川慎 / 死神と愛染めのロウソク
死神探偵事務所を訪れた少女。 彼女は死神探偵に友人の敵討ちとしてある人物の殺害を依頼していた。
そしてその無事に依頼が達成された今、報酬としてそのターゲットの残り寿命と同じだけ依頼人の命の蝋燭を奪われてしまう。
寿命の蝋燭、死神ときてさぞかしシリアスなのでしょうと思いきや依頼人がコマから消えた瞬間、甘々人外百合が始まりだした。 すごい温度差だ。
寿命の蝋燭と聞いた時は特に何も思わなかったけど、付き人が蝋人形とわかったときは蝋人形!!あ〜〜!!道理でねぇ!!、感動した。 とても綺麗で巧妙な設定に一本取られました。
・キッスinわんだーらんど / 焔すばる
『不思議の国のアリス』の白ウサギとチェシャ猫のお話。
キャラデザがよい。
チェシャ猫といえば飄々としてつかめないイメージだけど、この話だと割とウブの上、白ウサギに押されがちでかわいい。
そして相変わらずの濃密なキスシーン、さすが!!! やっぱり口元だけ見えるのって魅惑的でドキドキするよね。
・魔王の娘たち / もちオーレ
魔族姉妹百合というありそうもなかった新たな発想。
真面目に努力しているのになかなか結果が出ずヤキモキする姉とそんな姉の悔しがる姿を見るために裏で血の滲むような努力を惜しまない妹。
「悔しい・・・私だって・・・ 戦いに勝ってお母様に褒められたいのに・・・」
プライドが高いのに妹の手のひらで転がされてしまう姉の良さ。 そして魔王になって姉を嫁にしようと企む妹のかわいい野望。 もちオーレ先生の尖ったシチュエーションが刺さる刺さる。
最後の即落ち一コマも最高のオチ。
・アリスお姉さんは心配です / 伊藤ハチ
そして最後に待ち構えていたのはもちろんこの方、伊藤ハチ先生。
伊藤ハチ先生といえばおねロリの強すぎるイメージがあるが、『小百合さんの妹は天使』や、『ご主人様と獣耳の少女メル』など人外にもかなり強い。
最初のページで大人のお姉さんが出てきたので「あ。」と思ったら次のページで当然のようにロリが出てきて笑ってしまった。 おねロリでした。
というかこの人は『パルフェ』というおねロリアンソロジーにおいておねロリ人外作品を描いた上に今度は人外アンソロでもおねロリ人外をぶちこんできたのですね。 どのアンソロに出てもブレることなく自分を貫く姿勢、眩しすぎる。
巻末コメントの草食(おねえさん)は肉食(幼女)に勝てないという伊藤ハチ流勝利の方程式が全てを語っていた。 そうですね。という以外ないだろう。
というわけでバニラVanilla人外×人外百合アンソロジーでした。
さすが人外×人外、設定の振れ幅がすごい・・・!!!
作家様の想像力の豊かさにただただ感服しました。
人外×人間の方はまだ読んでいませんがその内感想を書けたらなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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