ヒマワリソウヤ先生の『さくら文通』です。
百合姫コミックスで、出たのは2010年と結構前です。
古い百合姫コミックスって手に入れるのがなかなか難しいんだよね~。
一度ずら~と並んだ全ての百合姫コミックスの前で買い物してみたいw
この漫画何がいいかと言いますとエスのお話が入っているのです!
以下感想
6編のお話に、描き下ろし1編を加えて計7編から成る短編集です。
内容は幽霊、ケモミミ、主従と、リアルなお話とは一味違ったファンタジー成分が含まれています。
どのお話も温かいストーリーと非日常感が素敵なのですが、この漫画の中には自分の大好きなエスのお話が2編入っているのですよ!!!
ヒマワリソウヤ先生の端麗な画風とエスの繊細な雰囲気が絶妙にマッチングして非常にGood!
女の子の髪を綺麗に描いてくれるので、そりゃあ女学生とか合うよなー!って感じですよ。
ちなみにエスって何ぞや?という人のためにちょっと説明
上級生が気に入った下級生に(逆もまたしかり)大変奥ゆかしいお手紙をしたためるなどしてアタックをかけ、無事相手が受け入れてくれれば晴れて二人はエスの関係となります。
エスとなった二人は友達、先輩後輩とも違う特別な関係となり、一緒に帰ったり、お出かけしたり、お手紙を送り合ったりするのです。
このような関係をエスといい、大正、明治時代の女学校などで実際に存在しました。
関係というか制度というかもはや文化ですね。
あの川端康成もエスを題材にした小説『乙女の港』を書いているほどです。
エスのwikiとか読んでいるだけで思いを馳せてしまう程に楽しいです。
エスにはいくつか特徴がある。少女同士の一対一の関係であること。お互いは唯一無二の存在であり、ほかの子とは仲良くならないこと(こればかりは文学上の関係で、現実は裏切りがあった)。
出典元:エス(文化)ーWikipedia
これむしろ裏切りめっちゃ気になるんだけど。 そこ詳しく~~。
・くちなし
お話はとある女学生鈴乃が、学校の憧れの的である上級生咲子に落とした便箋を拾ってもらうところから始まります。
全くエスってやつはどんだけ奥ゆかしけりゃ気が済むんだ!
この触れたら壊れてしまうような淡く儚い思いこそエスの醍醐味なのです! いや~わかってらっしゃる。
想い慕うあのお姉様とエスになるために一生懸命選んだ便箋に気持ちをしたためる・・・なんと美しいことか。
この一連の行動に少女の眩い煌めきが詰まっていると思います。
恋する女の子ってどうしてこうも美しい~。 もう誰も勝てないよこんなの。
しかしエスとはあくまで上級生と下級生の関係。
たとえ誰だけ二人がお互いを思い慕っていても、卒業や結婚によって引き裂かれてしまうのが当時の時代の悲しき定め。
ついに咲子にも、許婚である陸軍中尉から結婚の話が来てしまう。
これ! これなんだよ! エスってこういうのがいいんだよ!
確かにエスはずっと続くものではない刹那的な関係だし、これからは二人とも自分の道を進んでお互いに別々の家庭を持つかもしれないけど、それでもずっとお互いのことを思い続けて生きていくというある意味永遠といえる絆の深さ。
この先一生、鈴乃の心にはいつだって咲子がいるし、咲子は庭のくちなしを見るたびに鈴乃に思いを馳せるのでしょう。
数十年後、一面に広がるくちなしに惹かれてやってきた鈴乃の孫が咲子の孫と出会う未来が見えましたがちょっとありきたりすぎますかね?w
もう1篇のエスのお話である『さくら文通』も大変情緒的な恋文で始まるハイパーアルティメット郷愁的なガールミーツガールロマンスでとってもよいです。
短い話だけど、中身の詰まった疾走感があって何より読後感が素晴らしい。
読み終わった後は桜の香りがしてくるよう。
蓮っ葉w どてシャンw 当時のスラングが風情があっていいですね。
蓮っ葉は態度や言動に品がない女性、どてシャンはみっともない女性という意味らしい。
というわけで『さくら文通』でした!
エスのお話とても好きなんだけどあんまり見当たらないんだよね~。
百合界に原点回帰のムーブメント来てエス流行らないかな~。
とりあえず次は積んでる吉屋信子の『花物語』読まなきゃ!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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