平尾アウリ先生の独特すぎるセンスが全開
平尾アウリ先生の『わびさび 平尾アウリ作品集』です。
出版はKADOKAWAなんですが、出版社関係なくいろいろなアンソロジーに載っていた短編が載っています。
特に「ひらり、」から持ってきたものが多いです。
平尾アウリ先生の百合はギャグがキレキレで、毎回笑ってしまうほどに大好きなのでアンソロジーとかの読み逃した短編いつか読めたらなぁ~と思っていたのでめちゃめちゃ嬉しいです。
以下感想
いや、すごいわこの漫画。 無法地帯だわ。 一言で言うならカオス。
平尾アウリ先生の繊細な画風って傷ついて涙する女の子とかがよく似合ってて、間違ってもギャグとかボケとは無縁そうなのに
こんな会話がツッコミ不在で平然と行われている。
展開もフリースタイルすぎて、幽霊、忍者、挙げ句の果てには魔界のケルベロスなどが前置きなしに出てきます。
無駄に忠実に再現された物理法則によってめくれ上がるケルベロスの皮膚が素敵。
放課後の教室で女子高生がネイルを塗り合うというあぁとっても百合です・・・なシーンから始まったのにいつの間にこんな展開になったw
平尾アウリ先生にシュールなギャグ描かせたらほんとにピカイチ。 いつも絶対笑ってしまう。
じゃあギャグ漫画短編集なのかと言われると実はそうじゃなくて、シリアスで切ない話もいくつかあります。
こっちとしては「またまた~どうせ次のページでドラゴンとか出てくるんでしょ?」とつい思ってしまうのですが、ほんとに笑い皆無の本気シリアス話なので緩急のすごさにビビりますね。
シリアスな話がこれまた心臓がキュッとなるような切ない話ばかりでいいんですよね。
そりゃあこの画風でシリアスな話書かれたらめっちゃ合うわ。
自分の気持ちを我慢してる女の子とかめちゃめちゃ上手いんだよなー。
シュールかシリアスのどちらかに振り切れているお話ばかりだから、ギャグでがら空きになったボディーにヒュッとナイフが飛び込んでくるような感覚。
ほんとに平尾アウリ先生は恐ろしい・・・。
気に入ったのはシリアスだと『あのこのしてくれなかったこと』、ギャグ話だと『がんばる人を応援するひと。』ですね。
『あのこのしてくれなかったこと』は気怠い感じの報われなさが漂う雰囲気が好きです。 最後のオチも膝をついてしまうようなやるせなさがとても味わい深い。
『がんばる人を応援するひと。』は可愛らしい展開からの「ちぇっ今日は出がわりーなぁ」に盛大に笑ったw 百合漫画でパチンコ見たのは初めてな気がするw
あとこの漫画を読む前に一つ心配だったのが、表紙にも裏表紙にも百合とか女の子同士とか一言も書かれてなかったことね。
予防線を張っている感じがして少し気になりました。
「少女」の魅力と書かれているけど言ってしまえばヘテロでも少女の魅力はあるので、もしかしたらヘテロ短編の中にたまに百合短編が入ってるパターンかなと思いましたが、実際にはほぼ百合でした。
一本だけオタク男とギャルのヘテロ話がありますが普通に面白かったので自分は特に気になりませんでしたw
平尾アウリ先生はオタクとチャラ男描くのがとてもうまいんだよね。
というわけで『わびさび 平尾アウリ作品集』でした!
やっぱり画風、センスともに唯一無二だなぁと。
次のエクレア(出るのか知らないけど)でもまた描いてほしいなぁ。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事が気に入ったらポチっとお願いします!