祝!完結!!!!!
2年くらい?追い続けてきたふたりモノローグもついに完結してしまいました。 百合漫画の中では6巻はそこそこ長編なのではないでしょうか。
初めてふたりモノローグの紹介記事を書いた時が懐かしく思える。
語彙オバケのヤンキーと尊みオバケの地味子 ふたりモノローグを読もう
単行本派にとって、本誌を読んでいないために連載勢が盛り上がってるときについていけず、やっと単行本で追いついたと思ったらみんなは既に落ち着いてしまっているという問題はあるあるだと思いますが、ウェブ漫画の場合よりこの傾向が強い気がする。
単行本派は読もうと思えば無料で読めるしいつでも連載勢になることができるけどあえてしないという意思が求められるので辛かった・・・。
以下感想(ネタバレありなので注意!)
修学旅行編開幕!
学校行事には外で学校の友達と団体行動する非日常感という人を浮かれさせる魔力がある。 全体的にみんな浮かれ気味だけど特に田中と山本の風紀委員組はいつもより浮かれているなーという感じがよく伝わってくるのではないだろうか。
やっぱり普段風紀委員として気を引き締めている(?)分、こういうときには反動ではっちゃけちゃうんだろうか。
画面に映る感情の情報量が多い。 この込み入った人間関係、いつものふたりモノローグという感じ。
今更ながらみかげに恋人がいないことをおかしがるひなた。 「こんなにモテるのに!!」
バカでかい一方通行の感情がすれ違うのもいつも通り。 6巻まできて今なおこの両片思いっぷりはすごい。
これだけ一途で真っ直ぐな心を持っているところも不器用故になかなかうまくいかないところも似ている二人。 愛くるしい以外の言葉が出てこない。
も~~~~~~またこの二人はこういうことして百合オタクの心を弄ぶんだ!!! そういうの・・・そういうのいいからほんと・・・もうやめてくれ♡♡♡
JKが修学旅行、お寺とくれば当然飛びつく、縁結び。
みかげは目をつぶったまま岩から岩までたどり着くことができればご利益にあやかれるというおまじないに挑戦。
普段のみかげなら「ちょっとやってみよっかなー・・・なんつって」とかいって誤魔化しつつ本気で勝ちにいくみたいなことをしそうだけど、このときの彼女は最初から最後まで真剣そのもの。 クールのガワを被る余裕もなくなってきているのだろうか。
目をつむったみかげを誘導するひなた。 しかし、みかげの真剣な表情から彼女にはそこまでするほどの思い人がいるということを感じ取り心に何か黒い感情を覚える。 まさかそれが自分のことだとも知らず・・・。
そしてここでハプニング。
棚から牡丹餅のようなキスにも一切喜ばない二人。
ラッキーという感情よりも相手を不快にさせてしまった申し訳なさで自分を責めているところからこの二人がどれだけ相手のことを思いやっているかがよく伝わってくる。 そこにあるのは自己満足とは真逆の献身的な愛。
縁結びでの真剣なみかげの表情や彼女の過去の話を聞き、次第にひなたの心に積もっていく黒いもやもやとした感情。
もし自分がみかげの恋人だったら・・・そんな今まで考えもしなかったことを意識していくようになる。
いや、みかげと自分は親友のはず。 だからこの感情も友情に決まっている。
自分の思い込みを正しいと信じるためにみかげにいつも以上に近づくひなた。 しかし、そこで彼女は気づいてしまう。
友情なんかじゃない。 これは紛れもない愛情だ。 私はみかげに恋をしているのだと。
それ以降ひなたの世界でみかげの存在は劇的に変化する。
具体的に言うと語彙がすごい。 みかげといいひなたといい恋をすると神を称えるかのような褒め方になってしまうの笑う。 でも実際自分の思い人が世界の全て状態なので神と同様に扱うのも無理はない。
これまですれ違いの感情を続けてきてずっと両片思い状態の二人だったけど、みかげのひなたに対する感情が愛情なのに対してひなたからの感情は友情という悲しいすれ違いを起こしていたが、ここに来て二人の感情が一致、真の意味で両片思い状態になった。
そうなればもはややることは一つ。
「「告白しよう・・・フラれたっていい!! 気持ちを伝えなきゃもう生きていけない!!」」
あまりのひたむきな思いにこの辺から涙腺が温まりだす。 まだだ、まだ泣くんじゃない。
学園祭までに告白することを決意したひなた。
しかし衣装係の仕事が忙しく、せっかくの決意もズルズルと引き延ばされていってしまう。
このなぁなぁになる感じ・・・みかげもよくやってたなぁ。 恋の仕方も似てるんだよな~この二人。
気合は素晴らしいけど自分の自信のなさで一歩引いちゃうところとか。
ひなたはこれまで幾度も自分を奮い立たせてみかげと仲良くなろうとしてきた。 そして何物にも代えられない親友という関係を勝ち取った。
しかし、告白という行為にはこれまで積み上げてきた二人の関係のすべてを失うリスクがある。 その恐怖に打ち勝つにはこれまでとは比べ物にならないくらいのさらなる勇気が必要であり、怖くて足がすくんでしまうのもしょうがないという話。
そしてついに文化祭前日。 主役の紫藤と田中から演技のイメージを沸かせるために衣装を着てみてほしいと頼まれた二人はウェディングドレスをまとい舞台に立つことに。
そこで突然遠くから物音が。 様子を見に行くため人が消え、残されたのは花嫁姿のみかげとひなた。
お互いの理想の姿を前にして、二人の物語のスイッチが入る。
あまりの美しさに言葉を失うみかげとひなた。 思わずひなたの口から「好き」という言葉がこぼれてしまう。
今しかない。 例え嫌われようと傷つこうとこの気持ちを伝えるなら今しかない。
涙を流しながら自分の中で膨らんでいったみかげへの愛を語り始めるひなた。
全てを伝え立ち去るひなたを追いかけようとするみかげだが、心臓が潰れる速度に再生力が追い付いていけない。 しかしその程度でくじけるみかげではない。
幾度も倒れては持ち前のガッツで立ち上がる。 何度も何度も。
やっとの思いで彼女のいる屋上までたどり着いたものの肝心のひなたに近づくことができない。
みかげもこれまでの無理が祟っているのか限界を迎えつつある。
みかげの長い片思いは最愛の人を前にして終わってしまうのか。
しかしそんな彼女を支えたのはみかげとずっと一緒にいた洸、ずっと憧れだった先輩、そしてかつてみかげとひなたの仲を引き裂いた田中だった。
さらに鈴木と佐呂間の協力で、ひなたの元へとたどり着いたみかげ。
ひなたのように自分の思いを伝えようとするが、十年以上積もった感情はあまりにも大きく言葉にならない。
言葉で伝えることをやめ、みかげはひなたの唇を奪う。 こうして長い間すれ違い続けたみかげとひなたの感情は初めてつながり合ったのだった。
究極の大団円。
後半、お互いがウェディングドレス姿で向かい合ったシーンからもう涙でズルズルでした。
ひなたの口から好きがこぼれるところもそれを聞いて必死に流そうとするみかげももう駄目でした。 なんでもないように振舞ってるけど誰よりも一番その言葉を言いたくて言いたくて死ぬほどつらかったくせにと思って。
そしてひなたの真っ直ぐでストレートな愛の告白。 混じりっ気のない純度100パーセントの愛情。
あまりにも真っすぐすぎる告白が人の心を打たないわけはありません。
相手を思うが故の痛み、そしてそれ以上の人を愛することの喜び、痛いほど伝わってくる。
今までどんな困難が待ち受けようと自力で這い上がり立ち上がってきたみかげ。 しかし最後はついに動けなくなってしまう。
そんなとき現れたのはみかげの大切な仲間たち。
自分をうまく好きになれず、他人と比べては落ち込むことが多いみかげだけどそんな彼女のために立ち上がって一緒に支えてくれる仲間がいる。
ひなたとみかげの二人の物語に加え、バトル漫画の王道的展開も相まって筆舌しがたい感動があった。 最終局面で仲間が集う展開は全人類が好きなはず(極度の偏見)
今までキャラ作りに失敗しこのまま最後まで冴えないキャラで終わると思われてきた鈴木が、最後の最後で最高の見せ場を作ってバチバチにキャラ立ちさせてきたのも良かった。 あの役割はおいしすぎるやろ。
そしてみんな大好き後日談。
口から砂糖を吐いてしまいそうになるくらい甘いイチャラブ。
あまりのベタベタぶりに驚いた人も多いんじゃないだろうか。 ついこの間まで肩に頭がのってるだけで何も考えられなくなっていたことを考えるとものすごい距離感の変化。
とはいえ、あれだけすれ違っていたバカでかい感情が通じ合えばこうなってしまうのは至極当然なわけで。
彼女たちからすれば今まで「○○してぇ~~」と思っていたことがいつでもできるようになったのでまぁそりゃあこうなるわなという感じ。
もうとにかく百合漫画として自分の求めていたものが全て入っていた作品でした。
ギャルと根暗の百合だからという理由で読み始めたこの作品ですが、百合だからといってもそこには大きな幅があって。
一般誌で恋愛的なゴールを求めるのは中々勇気がいることで、百合じゃん!イェーイ!という気持ちと正直まぁどうせ友情がゴールがいいところだろうという諦めの気持ちが少しありました。 その感情、ほんとに友情だけ?と感じさせながら友達という関係で終わるのがまぁ妥当な落としどころかなみたいな。
百合オタクには必要以上に傷つかないための自衛本能があるので百合と銘打っていない作品にあまり期待を寄せすぎないのはまぁあるあるじゃないかなと思います。
でもこの作品はお互いの感情が愛であるということを描いただけでなく、その思いを伝え、そして結ばれたあとの後日談までしっかりと描き切ってくれました。 もう欲しいと思っていたものが全て入っています。 百億万点。 感謝しかない。
読み始めたときの諦めも全てひっくるめて救われたような気分。
一癖も二癖もありすぎるキャラクター達、ツナミノユウ先生にしかできない痒いところに手が届く心理描写、会話のセンスで笑わせに来る静のギャグ。 そしてまぶしいくらいにストレートな二人の物語。
ウェブで連載を見つけた時からふたりモノローグはお気に入りの漫画でした。
このような漫画を本棚に置いておけることをとてもうれしく思います。
ツナミノユウ先生、連載お疲れさまでした。 次の新連載は百合ではないようですが、ファンとして追いかけていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
あと5/11のツナミノユウ先生のサイン会行きます!!!!やっほーーーー!!!!
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