芳文社のつぼみシリーズから刊行されたきづきあきら+サトウナンキ先生の『エビスさんとホテイさん』です。
大好きです。知ってるOL百合の中では一番好きかも。
半年に一回のインターバルで引っ張り出しては読んでます。そして毎回「やっぱいいわぁ~(^q^)」ってなる。
続きは↓から
・だいたいのあらすじ
とある有名企業の小さな一営業所で働くOL、ホテイさん。
そんなホテイさんの働くオフィスへ新しく本社から恵比寿真世(以下エビスさん)が配属される。
エビスさんは正にエリートOLだった。
非効率な仕事はシステムごと改良し、チームでもリーダーを任され、本社にいたときも大きなプロジェクトを任されるほどの。
ただしその性格は冷徹で愛想も皆無。人付き合いも全くしなく、そして何よりどんなことがあっても絶対に残業はしない、という謎の行動。
そんな人が同期のOLから好かれるはずがなかった。
当然、エビスさんは周りから嫌がらせを受けるようになる。
特にホテイさんに関しては、前に一度本社を訪れた際にホテイさんに恥をかかされているためただならぬ因縁があった。
しかし対して効いている素振りも見せず、相変わらず残業をしないエビスさんについに業を煮やしたホテイさんはエビスさんの靴を隠してしまう。
さすがにこれで懲りて残業をするだろうと思ったのもつかの間、なんとエビスさんは室内用サンダルのまま帰ってしまったのだ。
エビスさんの執念に驚き、思わずその跡をつけてしまうホテイさん。
そこには保育園へ小さな子供を迎えに行くエビスさんの姿が。
本社の出世コースを蹴ってこのオフィスに来たのも、残業しないのも全て姉の子を育てるためだったのだ。
それを知ってからホテイさんの中では、大嫌いという気持ちにいろんな感情がごちゃ混ぜになり思い悩んでしまう。
・その読ませ力
もうとにかく読ませる。
タイトル通りエビスさんとホテイさんの話なんだけど、基本的にこの二人(とあと姉)しか出てこないから、他のキャラに意識を取られることなく二人の世界にどっぷりと浸かることができる。
ストーリーの長さ、展開も濃いけどちょうどいいテンポでよくもこれだけ綺麗に一冊の本にまとめられるものだと感心します。
話の濃さと独特の画風で一度読み始めたら終わりまで一気に読んでしまう。そして爆発する読後の多幸感。
好きな作品だとその続きが読みたいって思うのは当たり前のことだと思うけど、こんなに綺麗にまとまってると続きは蛇足と思ってしまうほど。
後日談が載ってるけどこれで十分。遠い目をして空を見ながら「あの二人はああやって幸せに暮らしていくんだなぁ」と幸せな溜息を吐くには十分すぎます。とか言いつつも出たらもちろん狂喜乱舞するけどね。
最初からエビスさんのことが嫌いで嫌いで仕方なかったホテイさんがエビスさんのことが好きだと気づくまでの過程がたまらなくいいのです。
第一印象は最悪。融通は利かないし、付き合いも悪い。だけど残業しなくても他人よりも仕事をこなしてしまう。そしてそれがさらに嫉妬、妬み、自己嫌悪を増長させてますますぐちゃぐちゃになり嫌いになるのに何故か気になってしまう。
同性だからこそ黒い感情を抱いてしまうってところがOL百合らしい話だなぁと思った。
ホテイさんがエビスさんの靴を隠すところはなかなかエグいいじめではあると思うけど、気になる子の筆箱を隠しちゃう小学生のイタズラみたいでちょっと微笑ましかった。
やられた方はたまったもんじゃないけどw
あとエビスさんの天然ツンデレがかなり破壊力高かった。
大人だから素直になれないみたいなのがツンの成分に含まれてて萌える。
ツンツンしながらも後半は尽くしまくりだったね。
こういう視線とか表情で心情を表すの好き。
ホテイさんは目とか顔に気持ちが出ちゃうけど、エビスさんは表情の裏に気持ちを隠すタイプ。
視線と視線の駆け引きみたいなコマが多くてよかった。
あとホテイさんが一方的にいじめてるのかと思いきや、実はエビスさんが先手を打ってたってのはちょっとびっくり。
ホテイさんの可愛さに嫉妬して意地悪したって考えると逆にかわいい。
結局はどっちも自分にない物を持っている相手が眩しくて嫉妬してそして気になっちゃうのね。
そして終わり方も素晴らしかった。
ふふとか昔では考えられないような笑い方をするようになったエビスさんに萌える。
最後のエビスさんのセリフも、完全にズドンと撃たれた気分。ありゃ反則や。
このエビスさんの不敵な笑みがまたいい。
今まで数々視線を合わせたことはあれどこうやって愛のこもった視線をエビスさんが送ったことはなかった。
お姉ちゃんとハナちゃんはどうなんのかなっていう一抹の不安も全てひっくるめて救われた終わり方でした。
ありがたやありがたや。
お姉ちゃんのフラッと海外行く癖はエビスさんとなんか関係してるのかな?と思ったけどまだ続いてる辺りただの放浪癖なのかな?
そしてなんと巻末には家の間取り図付き!!!
見取り図(笑)と思うかもしれないけど「ハナちゃんの部屋と二人の部屋が意外に近いな・・・これは二人でするときに・・その・・・声とか聞こえちゃうんじゃないか?」とかいろいろ妄想できて存外楽しい。
個人的には二人の部屋からしか行けないバルコニーの存在がいろいろストーリーを考えさせられてとても素敵だなと思いました。二人だけの空間があるっていいね。
というわけで『エビスさんとホテイさん』でした。
なんだかとにかく褒めまくりな気がしますが、それくらい大好きでそして名作であると思います。
無人島に10冊だけ百合漫画を持って行けるとしたら確実に選んでいると思うほど。
OL百合が好きな方ならまず気に入ると思うし、百合初心者の人にも是非読んでいただきたい一冊です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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